スタッフのひとりごと コンポーネントのグレード差異について

スポーツ自転車を購入しようと思ったら、必ず出てくるのが”ギアが何枚なのか”ということ。
種類はどのくらいあって、どんな風に違いがあるのか。
バイクルームシンでも「何だかわかりにくくて…」と、特に初めての自転車選びの方からお声が多い内容です。
その辺りを今回のお題に。
スラムカンパニョーロ

スポーツ自転車界でのギア段数

コンポーネントの大手製造メーカーは日本のShimano(シマノ)・アメリカのSRAM(スラム)・イタリアのcampagnolo(カンパニョーロ)と、この三社がいわゆる”3大キャリア”です。
装備は現在8~12速(主に後輪側の段数で呼ばれることが多い)仕様がほとんどを占めています。
リアギアの段数は、主にエントリーグレードは8~9速・ミドルグレードは10速(+11速の一部)・ハイエンドグレードは11~12速(12速はまだまだ一部のみ)仕様で、フロントギアの段数は1~3速。
それを組み合わせて『~変速自転車』とスペックに書かれています。
※フロントギア段数のお話は、スタッフのひとりごと”Fシングル化で最適化”でもお伝えしています。

コンポーネント価格の違いによるグレード差異

やはり一番は機能性⇒性能面ですが、グレードは上がるほど基本的にメリットは増えていきます。
※メーカーごと(シマノvsスラムなど)の使用感の違いは、人によって感じ方がとっても異なるため、あえてこの場でのお話は割愛しますね☆

■グレードが上がると得られる主な優位点とは?
●軽くなる1→重量=質量面(この点はわかりやすい所ですね)
●軽くなる2→レバー操作が容易で楽になる(より人間工学に基づく形状や設計により、少ないチカラで入力が可能に。これとっても重要!)
●剛性が高い(パワーロスが少なくバイクはよく進む)
●ブレーキングはよく効き、シフティングは『滑らかに・素早く・確実』になる(操作すること自体が楽しくなります)
●素材本体や一度調整したセッティングが長持ちする(サビに強くなる・強度が上がりバネなどの劣化=ヘタリが遅い)
●外観が洗練される(これもかなり重要ですね!!)
●グレードアップの際、上位モデルとの互換性を保ちやすい(先や上をみればキリがないものの、モチベーションUPのためにもなかなか大事なこと)
…他にもたくさんありますが、このようなところが主な良い部分。

■では逆にデメリットとは?
▲上位グレードほど高機能⇒高精度な構造になるため、セッティング作業がよりシビアになっていく傾向がある
▲剛性が乗り手に対して高過ぎると身体への負担が大きい(主にクランク周りの剛性過多の場合=入力による素材の硬さの跳ね返りとして反発が強すぎる)
▲ラフに使い続ける中で”丈夫さ”という意味の一面はエントリーモデルに軍配が上がることが多い(上位グレードほどいわゆる体脂肪率が少ないため”キレ”はあるものの繊細な造りをしてる傾向あり)
▲性能維持に関わる消耗品の価格も上がる(アスリートはエンゲル係数も高い)
▲盗難率が上がってしまう(縁起でもありませんが)
…この辺りの一面でしょうか。

8soku 11soku 12soku

↑画像は8速・11速・12速のスプロケット。歯と歯の間の隙間やそれぞれの歯の厚み、それに伴うチェーンの厚みも異なります。

グレードは『用途・目的・好み』によって決める

当店にてご紹介している様々な自転車メーカーで、取り扱いの多いシマノブランドのロード系コンポ8~11速までを例にお話します。
(8速クラリス⇒9速ソラ⇒10速ティアグラ⇒11速105=イチマルゴ⇒11速アルテグラ⇒11速デュラエース)

■やっぱり105?
コンポーネント選びのあるあるとして、「シマノブランドでロード用なら最初から105にしといた方がやっぱり正解ですか?」のお声はよく聞くお話ですね。
そのワケは、
①まずは母国ブランドであるシマノはコストパフォーマンスが高い
②105の性能は定評と人気がある
③上位グレードと互換性がある(グレードUPしやすい)
④おおよそ全グレード内で”中の上~上の下”であるちょうどよい位置づけ
いわゆる”ハイグレード過ぎずにいい塩梅”な所が一番の理由かと思います。

■では、8速クラリス・9速ソラ・10速ティアグラはどうなのか?
ここ数年でラインナップされている最新型番は以前の同モデルに比べ、3モデルいずれとも格段に使いやすくスムーズに動くよう進化しています(急激!?に性能UP・歴代最高かと)。
店頭でも、この3グレードコンポが搭載されているモデルを使い、特にスポーツ自転車デビューの方から多いのは「なんて動きがいいんだろう!」というお声。
それだけ大変よく作られた工業製品なのです。

グレードが高ければいいってモノではないので、用途などによってはこちらのコンポシリーズがピッタリの方も多いと思います。
乗り続けていく中で次第に明確な方向性や好みができて、グレードアップしたくなった際や劣化交換が必要になった場合に、フレームを中心に活かしてコンポセットのみを組み換える、これもスポーツ自転車の一つの楽しみ方ですね♪

■105より上のグレードをオススメしたい場合は?
❶手が小さい・指が短い・握力が弱い方(特に女性に!)
❷ロングライドが好きな方(長時間ずっと快適が続きます)
❸レースで1分1秒縮めたい方(機材の良さもタイムに影響します)etc

優れたコンポーネントを使えば、自分の予想以上に”楽”ができることで色々な部分に余裕が生まれ、フィジカル・メンタル面ともに1ランクor2ランク上の安心と安定感を自然ともたらしてくれます。
もちろん結果的に、安全面の確保(ブレーキングにおいて、特に上位グレードほど制動⇒停止距離が短くなる傾向大きくあり!)にもつながります。

ハンドル周りコンポ 駆動系周りコンポ

■選ぶ際は型番に注意!!
コンポーネントには、モデル名称(105など)とは別に型番が存在していることが多いです。
現行105はR7000⇒一世代前は5800⇒二世代前は5700⇒三世代前は5600などが一例。
また、それぞれ仕様や互換性が細かに指定・設定されていることが多く、名称だけでは判断できないことが多々ありますので意外に要注意です。

最後に。

特にスポーツタイプの自転車は、多くのパーツが緻密に連動する複合体です。
そのため、パーツひとつの変化であっても全体的に影響し合います(頼もしいポテンシャルをもちつつも、シビアかつデリケートな一面もあり)。
個々のパーツが充分に機能してしっかり連携することでチームワークが保たれ、はじめて優れた性能を発揮できます。

その構造から”安全・快適”の要には、はじめの段階からの手間暇かけた下処理と正しい組み付け、さらに熟練した的確なセッティング作業と、常に定期的な性能維持(清掃・注油・ギア調整・消耗品交換など)を確実に行うことが大切です。
すなわち、組み付け不良やメンテナンス不足のハイエンドグレードよりも、正しく構築されメンテナンスが行き届いたエントリーグレードの方が、はるかにレスポンスよく働き続けてくれます。

『上位グレードに越したことはない』…それは絶対的なものではなく、やはり適材適所であり、大事なのは何より愛情をかけてあげることなのではないかと思ったりします。
byメカニック高田